細い糸のような一本に、600年の伝統が息づきます。
氷をいれた器にうかぶ、真っ白なそうめん。刻んだネギやショウガといった薬味とともに味わう、ツルツルッとしたそうめんの美味しさは、暑い季節に涼をよぶ夏の定番です。 兵庫県たつの市を中心とした播州地域でつくられる『手延そうめん 揖保乃糸』は、全国シェア三割をこえる生産高日本一のブランドとして知られています。 この地で発見された約600年前の古文書にも「サウメン」の記述がみられるなど歴史は古く、播州平野を流れる揖保川の清流、赤穂の塩など地域の原料にも恵まれ、江戸時代には本格的なそうめん造りへと発展。以来今日まで伝統の製法を大切に受け継ぎながら、日本一のブランドを築いてきました。
細い糸のような一本に、600年の伝統が息づきます。
手延べそうめん造りは一年のうち、10月から4月までの限られた時期に製造されます。一回の製造に約1日半を要しますが、その間、熟成と呼ばれる麺生地のねかせと、麺生地を延ばすという作業を繰り返すことで、旨みを引き出し、細いながらもコシの強さと歯ごたえが生まれます。わずか1ミリに満たない細い麺ですが、実は16本の縄目状によりあわされた麺がつくり出す食感なのです。このモチモチとした独特の食感は、機械製造では決してつくり出せないものです。
麺の延ばし加減は、熟練職人たちの勘が頼りです。天候や気温をみながら、繊細な麺を引き延ばしたり、さばいたりしながら乾燥させていき、ようやく『手延そうめん 揖保乃糸』が完成します。その様子はまるで真っ白な布を織りあげていくような美しい風景です。
細い糸のような一本に、600年の伝統が息づきます。
『手延そうめん 揖保乃糸』は約500軒をこえる生産者によって支えられています。原料の仕入れから出来上がりの格付に至るまで、兵庫県手延素麺協同組合が一括管理し、ブランドの品質保持に努めています。24名の検査指導員による妥協のない徹底した品質検査により、選抜指定された熟練の製造者が厳寒期につくる「特級」、最も一般的でなじみの深い「上級」など、原料の違いや麺の細さでいくつかの等級に分けられ、それぞれの色の帯で流通にのせられます。
小麦粉と塩、そして水。食品添加物を使用せず、シンプルな原料だけでつくられた『手延そうめん 揖保乃糸』。はるか600年前から、細い麺に脈々と受け継がれた深奥の味わいを、この夏ぜひ味わってみませんか。